【2025年 春】春風を纏う——ライディングジャケットの選択
春という季節は、いつだって少し情緒的だ。
寒さが緩み、空が柔らかくなり、土の匂いが呼吸に混じるとき、バイク乗りは再びエンジンに火を入れる。
だけどその第一歩には「相応しい一着」が要る。
それは、ただ風を遮る布切れではなく、旅のリズムを整え、感覚を研ぎ澄ませる“道具”だ。
この記事では、2025年春に本当におすすめできるライディングジャケットを、「機能性」「スタイル」「存在感」の視点から選び抜いてご紹介していく。
― 目次 ―
- 1. 春ジャケットの心得:「通気」「防風」「安全性」三位一体のバランス
- 2. ジャンル別・おすすめモデル
- 3. 春のライディングコーデの哲学
- 4. ジャケットが変えた感覚の話
- 5. まとめ:風と歩調を合わせるために
1. 春ジャケットの心得:「通気」「防風」「安全性」三位一体のバランス
春というのは“揺らぎ”の季節だ。
気温も風も、時間帯によってその顔を変える。
だからこそ、ジャケットに求められるのは「通気」「防風」「安全性」という三要素のバランスだ。
- 通気性:昼間は想像以上に暑くなる。ベンチレーションは要チェック。
- 防風性:高速道路の朝夕はまだ冬の冷たさを残している。
- 安全性:CEプロテクターの有無、素材の強度は命を守る装置。
この三位一体が揃ってこそ、春の風と対話できる。
2. ジャンル別・おすすめモデル
■ ロングツーリング派に捧ぐ、機能の鎧(よろい)
KUSHITANI アメニタジャケット
まるで空気を纏うような軽さ。撥水性と防風性を備えながら、しなやかなフィット感は一日中着ていても疲れを知らない。
そのシルエットには、どこかアウトドアに通ずる孤高感が宿る。
■ 街と旅のあいだを攻める“半径50km”ライダーへ
John Doe Motoshirt XTM
それはシャツの皮を被った“鎧”。ラフに羽織れるその姿の奥には、しっかりとCEプロテクター。
走り出す準備が整った者だけが知る、静かな緊張感がある。
KOMINE JK-603 フルメッシュパーカ
季節を越えて使える実用美。インナーを外せば夏、着ければ春秋と、3シーズンに寄り添う。
そして、この価格でこの性能は、もはや奇跡。
■ クラシックな鼓動に魅せられた旅人へ
AGE OF GLORY Tracker Jacket
時間を纏う。そんな言葉が似合うジャケット。
ワックスコットンの経年変化は、自分だけの物語を刻むキャンバスになる。
ROARS ORIGINAL TRACK JACKET
シンプルだが退屈ではない。日本の職人技が紡ぐ、直線と曲線の美学。
夜明けの湾岸に似合う、静かな情熱を秘めた一着。
■ ダートを愛し、自由を追うアドベンチャーライダーへ
REV’IT Sand 4 H2O
世界を跨ぐ装備。インナー・アウター・レイン、それぞれが独立して春に最適化されている。
砂埃、霧雨、突風……あらゆる天候を味方に変える。
alpinestars Andes v3 Drystar
ミリタリーテイストの重厚感と、技術に裏打ちされた安心感。
その背中は、未知の山道を迷いなく選ぶためにある。
3. 春のライディングコーデの哲学
春は“引き算”の季節でもある。
重ね過ぎず、でも冷やさず。色味は柔らかく、でも個性は殺さず。
- インナーには軽量ダウンやフリースベスト
- 汗ばむ日中は吸汗速乾インナーが大活躍
- カラーはアーストーン(カーキ・ベージュ・ブルーグレー)で春の風景と調和を
着るという行為そのものが、風と対話する感覚になる。
ジャケットは、その仲介者だ。
4. ジャケットが変えた感覚の話
昨春、私はKUSHITANIのジャケットに袖を通した。
その瞬間、肩から力が抜けたのを覚えている。
軽く、柔らかく、でも頼もしい。
まるで、風と友達になれたようだった。
良い装備は、ライダーの五感を目覚めさせる。
そして、それは旅の質を根本から変える。
5. まとめ:風と歩調を合わせるために
春のジャケットは、単なるウェアではない。
それは「これから旅が始まる」という宣言であり、風との同盟の証でもある。
どんな一着を選ぶかは、自分がどんな旅を望んでいるかと等しい。
だからこそ、春のジャケット選びには“自分自身と向き合う時間”が必要なのだ。
新しい季節、新しい風、新しい相棒。
そのすべてが、まだ見ぬ旅路のプロローグになる。